就労ビザについて

query_builder 2025/01/16 就労ビザ

ここでは、就労ビザについて簡単にわかりやすく説明します。


1.1 就労ビザとは在留資格のうち就労することを活動として定めたもののこと


 就労ビザという言葉は、一般によく使われている言葉ですが、法律用語では在留資格(ざいりゅうしかく)と言います。在留資格は、入管法に定められており、日本に在留する外国人は、皆、1つの在留資格を持っていなければなりません(2つ以上の在留資格を持てません)。中長期日本に在留する外国人は在留資格を申請して許可されると在留カードが付与されます。日本滞在中は、在留カードを携帯していることと定められています。


 就労ビザとは、在留資格のうち、日本の企業で就労する(しゅうろうする)ことを活動として定めたもののことをいいます。働くための在留資格、働くためのビザです。就労することを活動として定めた在留資格でなくても、就労できる在留資格は、あります。この後に説明しますが、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者といった、身分系の在留資格では、特に活動に制限なく働けます。


1.2 在留資格は29種類。そのうち半数以上が就労ビザ。


 在留資格は、全部で29種類ありますが、そのうち半数以上が就労ビザです。具体的には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習の19種類です。


就労ビザの種類 主な職業例 在留期間
外交 外国政府の大使・公使・書記官等の外交職員 外交活動の期間
公用 外国政府の大使館や領事館の(外交以外の)職員 5年・3年・1年・3ヵ月・30日・15日
教授 大学教授、助教授、助手 5年・3年・1年・3ヵ月
芸術 作曲家・画家・写真家・彫刻家 5年・3年・1年・3ヵ月
宗教 僧侶・司教・宣教師 5年・3年・1年・3ヵ月
報道 新聞記者・報道カメラマン・アナウンサー 5年・3年・1年・3ヵ月
高度専門職 システムエンジニア・プログラマー 5年 (2号は無期限)
経営・管理 会社社長・役員 5年・3年・1年・6ヵ月・4ヵ月・3ヵ月
法律・会計業務 日本の資格を有する弁護士・司法書士・公認会計士・税理士 5年・3年・1年・3ヵ月
医療 日本の資格がある医師・歯科医師・薬剤師・看護師 5年・3年・1年・3ヵ月
研究 研究調査員・調査員 5年・3年・1年・3ヵ月
教育 小・中・高校の教員 5年・3年・1年・3ヵ月
技術・人文知識・国際業務 IT技術者・外国語教師・通訳・デザイナー 5年・3年・1年・3ヵ月
企業内転勤 同一企業の日本支店への期間を定めた転勤(技術・人文知識・国際業務に該当する職務) 5年・3年・1年・3ヵ月
介護 日本の介護福祉士の資格を有する介護士 5年・3年・1年・3ヵ月
興行 演奏家・俳優・歌手・スポーツ選手・モデル 3年・1年・6ヵ月・3ヵ月・15日
技能 外国料理の調理師・パイロット・調教師・ソムリエ 5年・3年・1年・3ヵ月
特定技能 介護・飲食業・漁師・農業・宿泊・航空・建設・造船・ビルクリーニング・工業製品製造・飲食料品製造・自動車整備・運送・鉄道・林業・木材産業 3年・1年・6ヵ月・4ヵ月
技能実習 (令和6年法改正で育成就労) 技能実習に係る業務(令和6年法改正で育成就労) 1年以内または2年以内で個々の外国人について指定する期間

 上記が、就労活動が定められた在留資格で、いわゆる就労ビザです。就労ビザ(就労系の在留資格)では、許可された職務以外の職に就くことはできません。就労ビザの他にはどんな在留資格があるかというと、活動が定められた在留資格の中では、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動があります。文化活動、短期滞在、研修では、就労が認められていません。留学と家族滞在では、資格外活動許可を取れば週28時間まで就労可能(コンビニの品出し・レジ打ちなどの単純作業を含む)です。コンビニでアルバイトしている外国人をよく見かけますが、留学や家族滞在の在留資格を持っていて、資格外活動許可を取った方々です。特定活動は、ワーキング・ホリデービザや、日本の大学の卒業後の就職活動など、いろいろな種類があり、それぞれ「特定活動」でできる活動が定められています。


 他に、地位や身分によって付与される在留資格があり、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者が定められています。一般に身分系の在留資格と呼ばれています。身分系の在留資格では、就労に制限がなく、一般の企業での技術開発や事務作業などのほか、コンビニの品出し・レジ打ちなどの単純作業もできます。

1.3 一番代表的な就労ビザは技術・人文知識・国際業務(技人国,ぎじんこく)


 一番代表的な就労ビザは技術・人文知識・国際業務(技人国,ぎじんこく)です。技人国の在留資格でできる業務は、理学,工学その他の自然科学の分野又は法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務、外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務です。


 技人国の在留資格でできる業務の典型的な例としては、次のようなものが公表されています。


 ー オンラインゲームの開発案件に関するシステムの設計,総合試験及び検査等の業務に従事するもの。
 ー ソフトウェアエンジニアとしてコンピュータ関連サービスに従事するもの
 ー コンピュータ・プログラマーとして、開発に係るソフトウェアについて顧客との使用の調整及び仕様書の作成等の業務に従事するもの
 ー 本邦の外資系自動車メーカーに派遣されて技術開発等に係るプロジェクトマネージャーとしての業務に従事するもの
 ー 取引レポート,損益データベース等の構築に係る業務に従事するもの
 ー 建設技術の基礎及び応用研究,国内外の建設事情調査等の業務に従事するもの
 ー 土木及び建築における研究開発・解析・構造設計に係る業務に従事するもの
 ー CAD及びCAEのシステム解析,テクニカルサポート及び開発業務に従事するもの
 ー 研究所において情報セキュリティプロジェクトに関する業務に従事するもの
 ー 語学教師としての業務に従事するもの


 最後の語学教師ですが、大学で語学の研究や指導を行う教授であれば、「教授」という在留資格になり、小中高の学校で語学教師をするなら「教育」という在留資格になり、民間の語学学校で語学教師をするなら、技人国になります。


1.4 技人国では、大学(短大・大学院を含む)または専門学校を卒業していることが必要


 技人国では、最終学歴として、大学または専門学校を卒業していることが必要です。ここで大学には、短大・大学院も含みます。専門学校の場合は、専門士の称号を得られていることが必要となります。海外の大学が日本の入管で大学として扱われるかどうかは、場合によります。また、通信制の大学を卒業している場合も、場合によって、大学卒として扱われる場合とそうでない場合があります。


 大学等を卒業していない場合、10年以上(通訳等の場合は3年以上)の実務経験があれば、大丈夫です。実務経歴は、履歴書だけでなく、勤務証明書(公証役場での公証済みのもの)が必要です。


 専門学校を卒業して専門士の称号を得られていれば、なんでも技人国の在留資格を取得できるかというとそうではありません。日本には、幅広い種類の専門学校がありますが、たとえば保育士、美容師、声優などの専門学校を出ていても、技人国はもちろん就労ビザを取ることはできません。


1.5 技人国では、学生時代の専攻と職務が関連性があることが必要。


 技人国では、学生時代に学んだ科目、専攻と就職してから行う職務とが関連性があることが必要です。たとえば、コンピュータ・プログラマ―やソフトウェア技術者として働く場合、情報処理,情報科学などを学んでいる必要があり、経理をする場合、経済学や会計学などを学んでいる必要があります。


 専攻と職務との関連性は、取得した単位、科目名だけではよくわからないことがあるので、より細かくわかる成績証明書や、履修前に学生に配られるシラバス(授業内容の概要を説明したもの)があればそのシラバスを申請書類に添付するのがお薦めです。


 大学卒業の場合には、専攻と職務との関連性は、比較的緩やかに判断されますが、専門学校卒業の場合には、その関係性は厳密に判断されることとなっています。


 ただし、大卒の場合で母国語で通訳・翻訳をする場合には、専攻との関連性はなくても大丈夫です。


1.6 就労ビザでは勤務予定先企業の経営の安定性も要件


 就労ビザでは、勤務予定先企業の経営の安定性も要件とされます。経営の安定性がない企業には、外国人を安定して雇用する力がないとみられてしまうため、許可されません。


1.7 就労ビザでは日本人と同等の給与であることも要件


 就労ビザでは、同等の職務をする日本人と同等の給与を支払う契約であることも要件となります。同等の職務をする日本人より安い給与では就労ビザは許可されません。自社企業で同等の職務をする日本人がいない場合には、他企業で同等の職務をする日本人の給与と比較して同等以上であることを説明するようにしましょう。


1.8 就労ビザでは単純作業の業務はできない


 就労ビザでは、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能のそれぞれの種類によって、できる業務が定められており、就労ビザを持っていても、許可された在留資格で認められている業務と異なる業務をすることはできません。転職した場合や、アルバイトをする場合には、認められた範囲内の業務になるよう留意する必要があります。


 また、就労ビザでは、いわゆる現業と呼ばれる業務、単純作業の業務はできません。たとえば、コンビニでの品出しやレジ打ち、飲食店のホールでの作業や洗い物などの作業、建設現場での単純労働、工場での単純な組み立て作業、運転手などはできません。


 ただし、特定技能に該当する場合には、その業務をすることができます。特定技能とは、2018年に創設され、2019年4月から受け入れ可能となった新しい在留資格です。特定技能は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、現在、特定技能1号として、介護,ビルクリーニング,建設,素形材,産業機械,電気電子情報関連製造業,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業の14分野が、特定技能2号として介護以外の13分野が定められています。介護は、在留資格「介護」があるため、特定技能2号が認められていません。


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