外国人雇用と社会保険

query_builder 2025/01/16 就労ビザ

 日本では、国民皆年金制度が採用され、20歳以上の日本国民は、皆、国民年金に入ることになっており、会社員は、さらに厚生年金などに入っています。また、日常のケガや病気、業務上の災害などから生活の安全を守り雇用の安定をサポートしたりする各種の「保険制度」も用意されています。
 こうした年金制度や保険制度は、他の多くの国でも提供されています。どの国の制度も、基本的には、自国内に居住する人や自国内の企業で働く人を対象とするものです。
 外国人を雇用する場合、社会保険は日本人と同じように加入させたほうが良いのか、外国人本人が社会保険料を負担したがらないため入りたがらないがどうしたら良いか、などの疑問を持たれる方も多いと思います。それらの疑問にこたえるべく、外国人雇用と社会保険について、説明します。


1.外国人雇用と社会保険の適用


1.1 年金保険,健康保険,介護保険の適用について


1.1.1 外国人も入らなければならないか?


 結論から言うと、外国人も日本人と同様に入らなければなりません。
 厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常用的に使用される(※)70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。外国人も同様です。
(※)雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受ける使用関係をいいます。試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。
 パートタイマー・アルバイト等でも事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方も対象です。
 「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務する、通常の労働者の1週間の所定労働時間または、1月の所定労働日数が4分の3未満である方で、以下の(1)から(3)のすべてに該当する方が対象です。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上あること
(2) 賃金の月額が8.8万円以上であること
(3) 学生でないこと
令和4年10月より、「雇用期間が1年以上見込まれること」が、要件から除かれました。


1.1.2 適用事業所は?


 厚生年金保険,健康保険の適用事業所は、株式会社などのすべての法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。常時5人以上の従業員のいる個人事業所については、農林漁業、サービス業などの場合を除いて適用事業所となります。被保険者となるべき従業員を使用している場合は、必ず加入手続きをしなければいけません。令和4年10月から【法律・会計にかかる業務を行う士業】に該当する個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、強制適用事業所となりました。
 適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。
 厚生年金保険に加入する場合には、同時に健康保険にも加入することとなります。どちらか一方を選ぶことはできません。


1.1.3 介護保険について


 介護保険における被保険者は、各市町村の40歳以上の住民(住民基本台帳上の住所を有する者)ですが、年齢により第1号被保険者と第2号被保険者に分けられており、要介護認定の方法や保険料の収集方法等が異なります。


 第1号被保険者は、65歳以上の住民を指します。第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者(注1)とされています(表参照)。被保険者であることを示す介護保険被保険者証があり、市町村(保険者)(リンク1参照)は、第1号被保険者は原則すべての人に、第2号被保険者は要介護・要支援認定を受けた人と、被保険者証の交付を申請した人に交付することになっています。


 在日外国人の場合、当該市町村に住所を有している者について、一定の要件を満たせば、国民健康保険と同様に介護保険の被保険者となります。日本国籍を持たないため、住民基本台帳法の適用を受けず、65歳時には資格取得届を行う必要があります。また、転入届、転居届、転出届、世帯変更届が必要なときに、介護保険の届出を別に行わなければなりません。



1.2 労働保険


1.2.1 労災保険について


 労災保険とは、労働者災害補償保険のことで、雇用保険と併せて、労働保険と言います。
 保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。
 労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除きます。)。


1.2.2 雇用保険について


 雇用される労働者は、常用・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、(1) 1週間の所定労働時間が20 時間以上であり、(2) 31 日以上の雇用見込みがある場合には、原則として雇用保険の被保険者となります。外国人でもこの要件を満たせば、原則として雇用保険の被保険者となります。雇用保険の被保険者が1名でもいると、雇用保険の適用事業所となりますので、ハローワークへ届出をする必要があります。


2.例外


2.1 企業内転勤の例外


 外国の企業に雇用されて日本国内の事業所に赴任する外国人の場合は、原則として雇用保険は適用されません。この典型例としては、「企業内転勤」ビザが挙げられます。

 企業内転勤で働く外国人は、通常日本国内での勤務期間が経過すれば母国へ帰国しますから、雇用保険の失業給付を受けることがありませんので、雇用保険の被保険者とはしないという取り扱いをするのが普通です。

 なお、社会保障協定が2国間で締結されているような場合、日本での健康保険や厚生年金保険への加入は免除されます。


2.2 アルバイト留学生の例外


 留学生は、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内でアルバイトをすることができます。この28時間という時間はフルタイムでの勤務を40時間と考えると正社員の労働時間の3/4未満となるため、健康保険や厚生年金保険の被保険者の要件を満たすことはありません。つまり留学生アルバイトについては労災保険のみが適用されるということになります。


 また、日本人・外国人を問わず、大学などに通う昼間学生には雇用保険は適用されません。雇用保険の被保険者になる場合・ならない場合が定められていますが、昼間学生は専門学校、日本語学校の学生を含め、雇用保険の被保険者にはなりません。


 なお、留学生は扶養家族も含めて原則として市町村の国民健康保険に加入します。そして、国民年金に第1号被保険者として加入することになりますが、学生納付特例(納付金額として加算されないが、納付期間には算入される制度)やその他免除申請をすることはできます。


3.まとめ


 外国人の場合でも、企業内転勤ビザでの日本勤務の場合などの例外を除いて、日本人と同様に年金・健康保険・労災保険など社会保険に入る義務があります。


 社会保険料等の未納は日本に在留する外国人にとって百害あって一利なしです。ビザの更新や変更にとても大きな影響を及ぼします。「免除」は納付金額として算入されないものが多いですが、未納に比べてはるかに入管の心証がよいので、支払いが難しい方でも要件に該当する外国人の方は、積極的に免除申請をすることをおすすめします


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